ハイブリッドシステムチェックなのに「エンジン系異常」!?

「ハイブリッドシステムチェックだから、ハイブリッドバッテリーの交換でいいんでしょ?」

と安易に考えてしまうと、ドツボにはまるかも。

今回はスタッフがドツボにはまってしまい、意外な方法で解決した事案をご紹介します。

車は30系プリウス。

ハイブリッドバッテリーが不調で、何度も補器バッテリーのマイナス端子を抜いてエラーを消していたみたいです。

(この時点で、実はけっこう危ないですけどね)

エラーを消去しても、バッテリーが治ることはありません。

コンピューターを騙しているだけです。

なので、しばらく乗っていると必ず再発します。

これを繰り返すと、最終的には車が前に進まなくなります。

実際、今回の30系プリウスは始動不可の状態で納車しました。

まず診断してみると、「エンジン系異常」という見慣れない文字が。

普通は「電池内部異常」や「電池パック劣化」などがほとんどで、珍しいものだと「高電圧配線系統」の異常も見たことがあります。

これらは全部、ハイブリッドバッテリー丸ごと交換修理で解決します。

が、今回は別。

エンジン系異常ですから、エンジンが疑わしい。

本当は管轄外なのですが、「ハイブリッドシステムチェック」が点灯している以上、対処法は知識として持っていたい。

ということで、知り合いの整備業者さんに聞いてみたところ、詳しくは分からないけどエンジンコンピュータ(ECU)を交換してみると良い、とのこと。

実は以前、同じ30系プリウスで「エンジン系異常」の車をECU交換で直したことがあるそうです。

ということで、中古でエラーが出ていないECUを取り寄せて、交換してみました。

が、ECU交換だけではチェックランプは点灯したまま。

よく見ると、ハイブリッドバッテリーのほうも、電圧が異常に低い。(普通個別で14.4ー19V程度なのに、8-9Vしかなかったり。)

これはハイブリッドバッテリーの方も交換が必要だ!と思い、リビルドバッテリーに交換。

でもやっぱりエラーは消えないし、同じエラー内容。

エンジンはかかるけど吹かせず、ガタガタ音がして、ピーと「ハイブリッドシステムチェック」の表示が出てきます。

見てみるとやっぱり「エンジン系異常」。診断機を使って消しても、一瞬で元通り。

エンジン系統のエラー内容は「P3190 ENG出力異常」「P3191 ENG始動不能」。

これはもううちでは無理かな……と諦めていたのですが、ここで耳寄りな情報が。

なんでも、この表示が出る時はガス欠な時が多いとのこと。

確かに、ガソリン残量は1メモリしかなく、ほとんどガソリンが入っていない状態。

まさか……と思って少しガソリンを入れてみると……

チェックランプは点灯しているものの、エンジンは始動し、しばらく待っているとEVモードにもちゃんと入って、走行できるようになりました。

診断機を使ってみてみても、数値は正常。だけどエラーは消えていません。

試しにエラーを消してみました。さっきはすぐに再発して、絶対に消せなかったのに、今度は全然再発しません。

試しに駐車場内をぐるぐるしてみても、異常なし。

まさか、ラスボスはガソリンだったとは……。

またひとつ勉強になりました。

 

【「エンジン系異常」の場合の対処法】

①ハイブリッドバッテリー交換(エンジンに供給し続けて充電されていないので上がってしまい、低電圧化しているため)

②エンジン系統のエラー内容の精査(出力異常ならガソリンを入れてみる。それで解決しないならECU交換も視野に入れる。)

③正常に動かせるようになってもチェックランプが消えない場合、診断機等で消してみると、消せるようになっていることがある。